ヘンゼルとグレーテル・その3〜母殺しの意味

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前置きが長くなったけれと、ヘンゼルとグレーテルは、まさに、この不在の父親と肥大化した母性の犠牲となった、息子と娘の話だと言える。

ヘンゼルとグレーテルは、継母の提案で捨てられることになって、森の奥に連れて行かれる。

父親は実父だという設定だが、愛する子どもたちを殺そうとする妻に向かって、父親は、どうして、NOと言えなかったのだろうか。

そこに、まさに、不在の父親(男性)像が見えて来る。

また、現代版の物語では、継母とされているが、実はこれは、書き換えられた設定で、本来は、実母であったのだという。だけども、それはあまりにも恐ろしいことだという道徳観によって、継母に変更されたのだという。

こうして、世間では、継母=悪、という図式が出来上がっているけれど、これは、本来継母が悪なのではなく、母=悪という図式が転じたものだと言える。

ステップマザーたちが、子どもたちと親密に関わっている実例はたくさんある。

また、実母たちが虐待の末に子どもたちを殺してしまう事件もある。

つまり、継母か実母かではなく、女の脅威こそがここで語られていることなのだ。

生命の源である母は、その命の全権を握り、終わらせることもできるのだという破壊的信念が、女性たちの奥深くに眠っている。

さて、このヘンゼルとグレーテルという物語は「不在の父を持つことは不幸であり、肥大化した母性は恐ろしく、子どもたちの人生は地獄である」と語っているのではない。

物語はここでは終わらない。

継母が肥大化した母性=グレートマザーの原型だとしたら、森の奥のお菓子の家の魔女は、まさにグレートマザーの根源のように描かれている。

美味しい食べ物で子どもたちを操って、虜にして、そして、食べてしまおうというまさに、生み出し、育て、飲み込み、殺す母の象徴だ。

魔女のいいなりになったかのように見せながら、自分が食べた鶏の骨を、自分の腕だと言って魔女に触らせて、全く太ってないから食べても美味しくないのだと演出したヘンゼルも賢いけれど、最後に、勇気を振り絞って、魔女をかまどに突き落とすグレーテルの勇気も素晴らしい。

つまり、一度は、継母(実母)の肥大化した母性の餌食になった二人の子どもたちは、傷ついた息子、母親のいい子ちゃんという未熟な役割を超えて、最大のグレートマザーである魔女を乗り越えたのだ。

魔女を殺したのは、息子ではなくて、娘であったことはとても特別な意味があると思う。

女性の闇に巣食っているグレートマザーという元型を殺し、本来の女性性に目覚め、時代を変化させる女性の力が、グレーテルの勇気と決断の象徴のように感じる。

継母に捨てられて、森の中でさまよっていた時のグレーテルは、とてもか弱く幼い妹だった。

兄のヘンゼルは、なんとか助かろうと、森の中で、パンくずをちぎっては落とし、目印にした。

結果パンくずは、鳥に食べられてしまうのだけれど(これは女が男の力に頼りきっているだけでは、共倒れしてしまうことの象徴かもしれない)、命の全権を担っていたのは、ほかならぬ兄のヘンゼルだったのだ。

だけども、最後、兄の命を救ったのはグレーテルだった。

彼女こそが、グレートマザーを殺して、本当の自分のパワーを取り戻したのだった。

ヘンゼルはか弱かった妹のグレーテルによって、命を救われて、二人は家に戻る。

戻ったら、あの意地悪な恐ろしい継母は死んでいた。

つまり、魔女というグレートマザーの元型が死滅することで、同じ元型で結びついていた継母も死んでしまったのだ。

それまで不在だった父親も、子どもたちの帰還を喜んで、3人は仲良く暮らした。

というのが、ストーリーの全容だ。

グレートマザーの撤退によって、家族が本来の愛の形を取り戻したのだ。

グレートマザーを超えていく。

そこには、グレートマザーに支配された母親のいい子ちゃんも、傷ついた息子の姿もない。

子どもたちは、親の脅威を超えて、成熟を遂げたのだ。

女性たちは、自分の貪欲なエゴによって、生み出しては、死にいたらしめる極端な二極性を超え、受容性と生命の存続、そして、創造性の発動へとシフトする。

男性たちは、肥大化した母性という呪縛から解き放たれ、聖なる女性性によって救われ、不在から、存在することへシフトする。

小さな子どもである自分を超えて生きる時、そんな可能性があることを、この物語は教えていくれているのだと思う。

Pranava Life
川村イーシャ

〜もっとシンプルに、魂の望みに沿って生きたい人のための〜
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