【心の物語】その1〜タバコの包み紙が教えてくれた父の実像

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    ♦︎Nさま(40代女性)より

フリーランスの仕事をしながら、子ども2人を育てる兼業主婦の女性。

夫は忙しい仕事をしているけれど、結婚生活10年を迎え、今では、育児と仕事と家庭生活に一生懸命向かい合っている同士のような関係にまで成熟してきた。

セックスレスや不仲の時期も、自分を見つめるために受けてきたセラピーが随分と助けになって、乗り越えることができた。

彼女は自分のキャリアにも、育児にも、夫婦関係にも、自分がやってきたあらゆることに十分満足しているはずだった。

だけど、彼女の中には、いつも根拠のない不満があることを、彼女自身が感じていた。

満足できるはずの現実なのに、なぜか満足できない。

自分の不満の原因は一体なんなんだろうか。

そんな彼女が個人セッションで見たものは、衝撃のイメージだった。

不満のエネルギーをイメージしながら、彼女が目を閉じると、胸のあたりに、カサカサと音を立てる紙のようなものを感じられた。

不思議に思って、そのイメージを捉えて続けていると、それは彼女の父親が吸っていたタバコの包み紙だということがわかった。

そして、その懐かしいイメージは、彼女に父親のエネルギーを思い出させてくれた。

タクシードライバーだった彼女の父親は、とても優しく、理解があり、彼女は父親が大好きだった。

母親は病気がちで、動けないこともあったけれど、そんな母親の看病も、父親と一緒に一生懸命やってきた。

だけど、彼女の父親は、いつも不満を持っていた。

晩酌のとき、父親は、会社のこと、地域のこと、人生のありとあらゆることを取り上げて、不満をぶつけながら、大きな声で愚痴を言うのがお決まりだった。

それはまるで、人生に不満を持つ奴隷のような惨めな姿として、幼い彼女の目には映っていた。

父親の不満を聞くたびに、自分は生まれてきてはいけなかったのではないか、父親の不幸の原因になっているのではないかと、居場所をなくして、身を小さくしていた自分を思い出した。

だけど、同時に、父親が酒に酔って、不満を言う姿は、いつもの優しい姿よりも、どこか力強く、頼もしく見えていた。

「不満は言わせてあげよう、そうすれば、惨めな父親が、少しは気持ちよくいられるから。」

幼いながらに、彼女はそんな風に、父親の不満に付き合ってあげていたのだ。

ティーンエイジャーになった彼女は、そんなことも次第に忘れて、父親の不満も、適当にかわすコツを覚えた。

そして、大人になって、そのことはもうすっかり忘れてしまい、父親にはなんの問題もないとでも言わんばかりの理想的な娘を生きていた。

だが、彼女の今を支配する根拠のない不満を探っていくと、そこにあったのは、父親の不満のエネルギーだったのだ。

彼女は、知らず知らずのうちに、父親の不満の人生と一体化して、それを生きていたのだ。

そのことを思い出し、彼女は、自分のインナーチャイルドに寄り添って、イメージの中で父親に言った。

「お父さん、あなたの不満は聞きたくない。それを聞くと、まるで自分が生まれてきてはいけなかったように感じるから。あなたの不満のエネルギーは、私を傷つけています。」

そう言って、彼女は大粒の涙を流した。

それは、父親の不満によって傷ついてきた彼女のインナーチャイルドの涙だった。

そのことを思い出してから、彼女は、父親に、それまでよりも深く感謝を感じられた。

不満でいっぱいの父親だったけれど、父親はとても優しくて、周囲の人たちに頼りにされていたことを思い出した。

そして、たくさん愛してもらっていたことを思い出した。

完璧なやり方ではなかったかもしれないけれど、父から愛されていたことで、男性からの愛情を受け取れる大人に育ち、今の夫との幸せな関係があるのだと、理解できた。

彼女の中で、父親は、惨めで不満だらけの男性像として存在していたが、そのことにすら居場所を与えられていなかった。

愛する父親をそんな風にイメージすることは、できなかったからだ。

また、それによって、惨めな気持ちを感じる自分にも、居場所を与えられていなかった。

そうやって本当の気持ちを抑圧して生きる中で、彼女は、父親の不満の人生と一体化していたのだ。

自分の本当の思いが明らかになったことで、初めて、彼女は、父親への威厳を取り戻した。

父には父の痛みがあったのだ。

いつも自分が欲しい形で愛をもらっていたわけではなかったけれど、父親なりの愛を与えてくれていた。

それまで、父親の不満だらけの人生を生きていた彼女は、初めて、自分の人生を父親のものから切り離すことができたのだ。

それに気がついたとき、もう彼女の中に、不満はなかった。

彼女はようやく、傷ついた子どもの自分を卒業して、成熟した自分の人生を選択したのだ。

東村山クラス以外は、オープンクラスですので、1回からの参加が可能です。

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