インナーチャイルドという言葉は、私たちの無意識に抵抗を感じさせます。
なぜなら、誰しもが、子ども時代に傷ついていて、その傷を隠して、大丈夫そうに見せながら、大人になっているからです。
心に傷のない人などどこにもいません。
ですが、その傷は、本来ならば、その時に、適切なケアを受けて、治癒することもできたはずです。
それは、本来、親や周囲の大人たちの義務であり、傷を受けないことが大切なのではなく、ケアして治癒していく過程と、そこに向けられる大人たちの愛情を通して、子どもたち自身が、守ることや愛することを適切に学び、成長の糧とすることが大切なのです。
ですが、大人たちこそが、まさに傷ついたまま大人になった子どもです。
彼らは、見た目は大人ですが、中身は傷ついた子どものままで、自分たちを育ててくれた大人たちの愛情を受けて、傷を治癒するプロセスを通っていません。
そのため、多くの場合、親たちは、自分たちを育ててくれた親がしたのと同じように、自分の子どもたちに関わることになります。
大切なことは、まずは、自分の傷に気がつくことなのです。
痛い、怖い、辛い・・・
そんな感情が、癒えないまま自分のなかにあることをまずは認める必要があります。
ですが、多くの場合、その傷を認めることができません。
なぜなら、とうの昔に、その傷の痛みを、感覚を分離させることによって、忘れてしまったからです。
そして、無味乾燥の世界を生きることで、痛みに向かい合うことをやめてしまっているのです。
それは、しばらくは賢い手段として効果を発揮しますが、次第に、生活を蝕んでいきます。
見ないふりをしている痛みが、別の症状として、漏れ出してくるのです。
DV、過食嘔吐、アルコール中毒、仕事中毒、セックス中毒、ドラッグ中毒など、中毒性のあるすべてのことに、この潜在意識の構造が影響しています。
中毒とは、このように、あからさまなものだけではありません。
様々な日常の行動、言動に、私たちの防衛反応による中毒性の症状は潜んでいるのです。
そして、そのことに気がつくのは、容易ではありません。
それらは、自分の血や肉のように体に染み付いていて、それが「本当の自分」ではないと気がつくためには、セラピーや瞑想などによって、内観の力を養う必要があります。
同一化したまま、抵抗&防衛の状態にありながら、それに気がついていない場合もあります。
気づきと呼ばれるものが、マインドにとって都合のよい気づきである場合も否めません。
なんでも美化してしまうスピリチュアルな世界の罠は、常にそこに潜んでいます。
そのことを、明らかな目で見ているために、「美」というものについて、私たちはある理解をしておく必要があります。
それは、「美」の中に含まれるものについてです
それが、キラキラとして都合のよいものだけであった場合、私たちは、なんらかの嘘をつき続けている可能性があります。
痛いもの、苦しいもの、辛いもの
それらを脇においたまま、すべて善きもので、塗り固めていないでしょうか。
宇宙は完全であると言う前に、陰陽のありのままを見ているでしょうか。
インナーチャイルドたちとの出会いは、美について、宇宙についての真実を、体験的に伝えてくれます。
私自身のことになりますが、ずっと封印してきた悲しみに触れた時、私は喜びで泣きました。
こんなにも、私の中に、傷ついた感覚があったんだということを知り、私の中の「ゆるしのスペース」がひろがったんです。
自分をゆるすということは、体験する領域を広げることです。
自分をゆるしていない時、私たちは、体験することを許していないのです。
それが、すでに体験されていた出来事だったとしても、私たちは、自分にゆるさず、過去を否定している場合もあります。
インナーチャイルドワークに入ることは、ときに「怖い」ことでもあるかもしれませんが、チャイルドと出会い、傷をありのままに認めるとき、私たちは、想定していたような「恐れ」ではなく、むしろ、「愛」に触れるでしょう。
防衛の壁の内側には、守られてきたことによって、純粋なままであり続ける「愛」が存在しているのです。
その愛は、自然に、自動的に、外に溢れ出ていきます。
防衛の壁が取り払われて、閉ざされていた自分の輝きと愛があふれ出ることは、私たちの世界を、本当の意味で輝かせるでしょう。
それは、ポジティブシンキングの一時的なハイではなく、むしろ、内観を続ける限り、永続的であり、とても自然な人の感覚で、人本来のあるべき姿と言えます。
無意識でかけていた眼鏡をとって、純粋な目で、世界を見ること。
それこそが、インナーチャイルドワークの目的なのです。
つづく
*インナーチャイルドセラピスト養成講座
《残席1》第1期 4月&5月スタート
*インナーチャイルドグループコース
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《満席》4月25日(月)開催@茅ヶ崎ともいきや(JR茅ヶ崎駅南口より徒歩10分)
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